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2008年8月10日 (日)

ザリガニのポニョ

 8月7日の木曜日、わが家から山を一つ越えたところにある映画館に出かけて、宮崎駿監督の『崖の上のポニョ』を、家族で観てきた。

 

 主人公は宗介くんという5歳の少年と、魚の子のポニョという女の子だった。

 

 映画の最中、前列に陣取った末っ子で幼稚園児の次男は、三回トイレに立ち、そのつど家内が付き添ったが、私の隣に座っていた小学三年の長男は、なんとか最後まで集中を切らさないで見ていた。

 

 作品そのものは、宮崎さんの世界を極印したような映像が随所にあふれ、ありえないような自然をモデルにした不思議な歓喜が画面の中で何度も爆発していた。

 

 ありえない世界でありながら、ありえてほしい憧憬と、天地がひっくり返るような驚きと、登場人物たちの静かなやりとりとが繰り広げられ、見ていてとても爽快だった。

 

 その帰路、一歩屋外に出ると、8月の猛暑と蝉しぐれがいちめんに降り注いでいた。

 

 6年生の次女の発案で、映画館の近くを流れる秋川(あきる野市)に立ち寄った。

 

 子どもたちと水遊びをしていると、長男が思い掛けずザリガニを発見して二匹捕獲し、続いて次男も一匹見つけて、大喜びだった。

 

 映画パンフの入っていたビニール袋に水を入れ、その中にザリガニを入れてみたら、数カ所からシャワーのように水が漏れ出した。

 

 帰り際、次男が、「もう一匹ほしい」と言って泣き出した。

 

「また、ここに必ずとりに来るからね」と家内と説得して、家へと引き上げた。

 

 

 空きやになっていたプラスチックケースの虫かごやバケツに、持って帰ったザリガニを入れ、溜め置きしていた雨水を注いだ。

 

 子供たちが、赤いザリガニをのぞき込むその姿は、先ほど観たばかりの映画の主人公そのものだった。

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