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2010年9月 1日 (水)

遊馬正・画伯の絵

 8月最後の木曜日、遊馬正・画伯のアトリエを訪問させていただいた。

 

 7月に同じアトリエで開催された、ご著書『いのちを描く―わが「光の芸術」への道』の出版記念パーティーに出席してから、ちょうど一カ月が経っていた。

 

 青梅から自動車で1時間半ほどかけて、埼玉県にある遊馬邸に到着。

 

 玄関に入ると、画伯がにこやかな笑顔で私たち夫婦を温かく迎えてくださった。

 

 アトリエのテーブルには、つい先ほどまでお読みになっていたであろう『生活の智慧365章』(谷口雅春著)が開かれ、奥様が静かに隣の席にお座りになっていた。

 

 お茶をいただき、ご夫妻と歓談している家内を後目に、アトリエに新たに展示してくださった作品を、一点ずつ、ゆっくり鑑賞させていただいた。

 

 すると、下の方に、以前には見掛けなかった1枚の、湖畔の深々とした晩秋の風景を描いた絵が、薪ストーブの脇に立てかけて展示されているのが見えた。

 

 森が迫り、冬が、すぐそこまで来ているような湖畔の向こうに、淡く紫掛かった暮色の山がひっそりとたたずんでいる。

 

 引き寄せられるままに、しみじみと眺めていると、この作品から、馥郁(ふくいく)たる落ち着きのある曲想が、低く静かに響いているのを感じた。

 

 こんな経験は、2年前の「生光展」に画伯が出品された、『イエロー・ラプソディ』を鑑賞して以来のことだった。

 

 ほんの三号ほどの小品であるが、サイズを超えた不思議な世界が、そこには現れていた。

 

 祈りの折に感ずるような奥深い世界が、画伯の記憶に刻まれたギャリソンの湖を描写する無心の絵筆に乗って、どこどこまでも透明に描かれ、鑑賞者の魂の奥底までも映し出す(reflection) ような光景が広がっていた。

 

 それは、八十代の老画家の境地をもって、ようやく実現できる世界なのかもしれない、晩夏の蝉しぐれを聴きながら、そんなことを考えていた。

 

 

 

 

  久都間 繁

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コメント

私も遊馬正画伯の絵の前で動けなくなった事があります。
本当に素晴らしい作品ばかりですね!

投稿: keiko | 2010年9月 1日 (水) 23時14分

keikoさま、コメントをありがとうございます。

本当の「美」は、人を沈黙させるようですね。
その沈黙の内に、「いのち」が通い合い、そこにハーモニーが奏でられるようです。

投稿: 久都間 繁 | 2010年9月 3日 (金) 09時57分

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