自然エネルギーを求めて(1)――羨望の太陽光発電
福島における東電の原発事故以来、わが家では「自然エネルギー」の導入を真剣に考えるようになった。
太陽光発電については、だいぶ前に施工業者に調査してもらったことがある。
そのときは、
「屋根の形状の関係で、パネルを1kW程度しか載せることができませんので、ちょっと無理ですね」
との見立てで、やむなく断念したことがあった。
――あれから7年ほど経っている。
パネルの形状も多様となり、面積当たりの発電量も、きっと増加しているだろう。せめて2kW程度でも発電できればいいのだが・・・。そう考え、今度はメーカーの相談窓口を通して、経験豊富な施工業者を紹介してもらった。
数日後、施工会社の社長はじめスタッフらがわが家に来訪。
同社の社長の話によると、ちょうど青梅市で「地球温暖化対策住宅用機器設置費補助金交付制度(平成23年度)」の募集が始まったところで、締め切りは一週間後。とりあえず申請だけでも出しておきましょう――とのこと。
思いがけない朗報に、1kWあたり5万円、上限額は15万円とのことで、弾む心を抑えながらとりあえず2kWの補助金を申請することにした!
同時に、施工チームの方に屋根の形状を徹底的に調査してもらうと、うれしいことに合わせて2.05kWの太陽光パネルの搭載が可能との連絡をいただいた。
飛び上がるような想いで10年間のローンを組み、国と東京都への補助金申請書に署名し、東電に申請する発電所の名称を夫婦で話し合って決め、翌月に実施する施工の日取りも決定。
わくわくしながら、家内とともに手帳とカレンダーに施工日をしっかり赤ペンで書き込んだ。
これでいよいよわが家の屋根にも太陽光発電が乗るぞ! 子供たちをはじめ、ご近所、知り合い、職場の同僚にも、嬉しさのあまり発電所の設立をふれて廻った(^^;
そんな、工事まであと一週間とせまった晩のこと、施工会社の担当者から突然の電話が入った。
受話器をとると、恐縮した声で、
「――屋根が特殊な形なので、パネル編成の関係で最低入力電圧に届かないことが判明しました。ご期待に添えなくて、まことに申しわけございません…」
との、あっけない結末を、申し訳なさそうに話してくれたのである(^^;
かくして、またもや太陽光発電への道は閉ざされ、補助金の申請もローンもあえなく取り下げとなる幕切れとなった。
これ以来、電車に載っていても、道を歩いていても、なぜか住宅の屋根ばかり視界に飛び込んでくるのだ。
――この家の屋根は2kWくらい。あそこは3kWは乗るぞ。
おっ! この屋根の広さと陽当たりの良さなら4kW、いや4.5kW載せて数年で元を取れるなあ――
そんな当て所のない皮算用が、脳裏に浮かんでは、屋根の上に浮かぶ白雲とともに、どこかへ消えていくのだった。
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