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2011年11月 8日 (火)

自然エネルギーを求めて(5)――木質ペレットのこと

 東電の原発事故が発生して以来、私は自然エネルギーについての理解を深める中で、バイオマス燃料に注目するようになった。

 

 バイオマスの一つである薪を燃料とする「薪ストーブ」については、前回のブログで紹介させていただいたが、薪のほかにも、木質ペレットという燃料を使う「ペレットストーブ」というものがある。

 

 木質ペレットとは、地域の製材所などから出るおが屑や、丸太から柱を切りだした端材、間伐材などを木粉にして、それを圧縮して固めたものだ。

 

 木質ペレットは、基本的には次の3種類に分けられているようだ。

 

・「ホワイトペレット」――木の幹の部分でつくられたもの。
・「バークペレット」――木の皮でつくられたもの。
・「全木ペレット」――幹・皮を含む木全体からつくられたもの。

 

 いずれも、森から産出される端材や樹皮などの副産物が原材料だ。

 

 映画『みつばちの羽音と地球の回転』(鎌仲ひとみ監督作品)でも紹介されたように、スエーデンをはじめ欧州各地では、地域社会で共有する暖房や給湯装置の燃料としても木質ペレットが使われ、クリーンな循環型エネルギーとして活用されている。

 

 上記のペレットの中で、主として家庭用に使われるのがホワイトペレットで、これを利用した暖房器具がペレットストーブなのだ。

 

 このストーブは、ドイツ、オーストリア、イタリアなどの欧州諸国の製品に加え、アメリカ、カナダなどでも製造され、化石燃料に依存しない暖房装置として広く使われており、国産でもいくつかのメーカーが製品をエントリーしている。

 

 

 ペレットストーブの特徴としては、

 

①薪とちがって煙りが極めて少ないため、住宅地でも使用できること

 

②場所もとらず、エアコンなみの簡単な工事で安価に設置できること

 

③燃料代が、灯油のように国際市場の相場に左右されることなく安定していること

 

④CO2の増減に影響を与えないカーボンニュートラルな暖房であること

 

⑤薪ストーブと同様に、家の中で“本ものの炎”で暖をとることができること

 

という魅力的な特徴がある。

 

 

 そんなことを調査していた矢先―― なんと市内でペレットを製造し、おまけにストーブまで扱っている会社があることが分かった。

 

 環境問題に関心を深めるようになってから10年ほど経つが、“灯台もと暗し”とはこのことだった。

 

 さっそく電話で連絡をとり、5月末の休日に訪問させていただいた。

 

 それは「東京ペレット」という青梅市にある会社で、私は駐車場に車を止め、事務所の方に歩き始めると、

 

「ashikabiさぁ~ん!」と声が掛かった。

 

 なんと声の主は、これまで地域のPTA行事で何度も顔を合わせ、ともに二次会まで飲みに行ったことのあるOさんだった。

 

 事務所に入り、ぐるりと各種のペレットストーブに囲まれた応接スペースで椅子をすすめられ、私たちはこの日初めて、環境のこと、循環型エネルギーのこと、3.11の震災や原発事故後の日本のエネルギーのことなどを語り合った。

 

 私は、このペレットストーブの背後にあるもの、それは「森」と、「地域の産業」と、そして「家庭生活」とを結ぶ、画期的な循環型の社会がこのシステムの向こう側にあることが、温かく燃えるストーブの炎の中から次第に象を結び始めるのを感じていた。

 

 

 

 

 

 

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