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2020年11月30日 (月)

練成会と神癒──忘れ得ぬ総本山での思い出

 生長の家総本山の機関誌『顕斎』の編集者から寄稿を打診され、真っ先に脳裏に浮かんだことは、四十年以上前に受けた練成会の思い出である。

 私が十代だった昭和五十六年ごろ、体調を崩して何週間も病床に臥(ふ)したことがあった。

 小康を得て青年会の先輩宅を訪ねたとき、その先輩から、「思い切って総本山の一般練成会に参加したらどうか」と勧められたのだ。呼吸器系の病気だったため、息も絶え絶えの状態だったが、当時まだ総本山にいらっしゃった谷口雅春先生のご指導を仰ぎたいとの願いもあり、意を決して参加することにした。

 

◆「実相」と「現象」

 数日後、青年会の仲間に見送られ、夜行列車とバスを乗り継ぎ総本山に到着した。龍宮住吉本宮が落成してまだ二年、練成道場も現在の半分の規模で、一般練成会には、北海道から沖縄まで老若男女さまざまな世代が参加していた。

 当時、練成部長をされていた泉英樹講師が毎日演壇に立ち、唯神実相の真理を順々と説かれていたが、ある日「実相と現象」についてのお話があった。

「肉体はどんなに病み、不完全な姿に見えていても、実相ははじめから円満完全で健康である。現象は“心のカゲ”だから本来無い!」。

 講師が「実相」と「現象」とを明確に分けて説明してくれたおかげで、わたしがこの練成会で体得しなければならないことのポイントが、雲間から光が差すように見えてくるのを感じた。
 そんな翌日、『続々甘露の法雨』を読誦しているとき、

 汝ら今、生命あることを悦べ、
 今、生きてあるその『今』を悦ぶべし

──という言葉が、ずんと、魂に響いてきた。ここに説かれた「今」とは、講師が説かれた「実相」であることが直感され、それは現象を超えた「真実在」であるから、病気の肉体のことは放っておいて、その「今」の中へ飛び込んでしまおう! そんなことが脳裏にひらめいた。

 

◆「今」を生きる

 その日の午後、献労があった。「現象なし」を学んだ私は、病気や症状のことは一切表に出さず、鍬(くわ)を手に山を耕す作業を買って出た。もはや一つひとつのことが命がけだった。

 すべてを神に托し、実相の「今」を観じ「ありがとうございます。ありがとうございます」と、呼吸困難で遠のく意識の底から感謝の言葉を繰り返し唱えていると、次第に実相の「今」が、時間も空間も病気もない「今」が、今ここにありありと在ることが観じられてきた。

 病気の肉体は苦しいままだったが、「今」を観つめることの中から、底知れぬ無条件の喜びがこんこんと湧いてくるのを感じた。気がつけば、辛い献労も、いつのまにか後片付けの時間になっていた。

 わたしは病気のことは黙したまま、率先して道場の人たちと一緒に皆が使用した道具を洗い、小屋の奥に一つひとつ収納するのを手伝わせていただいた。

 そんな修行を重ねていた七日目の朝、ゴホンと咳をする度に、胸の奥から見たこともないタンの固形化した塊(かたまり)が出てきた。そんな症状がしばらく続き、昼までにはそれもすっかり治まり、躰は雲のように軽くなっていた。

 顕斎殿と神饌田の間を流れる「いのちの川」を整備する献労では、ずぶ濡れになって力仕事に励み、どんな激しい作業をしても“手の舞い足の踏むところを知らず”の状態だった。このとき詠んだわたしの歌──

 流れゆく いのちの川に踊りいで
  遊戯三昧に 献労楽しや

 総本山での忘れ得ぬ思い出である。

 

 ◆“ムスビの働き”とPBS活動

 練成会八日目ごろ、佐世保で谷口清超先生ご指導の講習会があった。

 最前列に座り聴講させていただくと、先生はご講話の中で、

「死んで霊界に往くというのは、ちょうど更衣室に入るようなもの。また新たな衣装を着て、人生の舞台に登場するのです」

と語っておられた。


 あれから四十余年、多くの先輩や恩師、そして何人もの友人が霊界へと旅立ったが、必ずまたどこかで出逢い、同じ時を過ごし、ともに神さまの運動に身を挺して舞い遊ぶときがくると信じている。

 その出逢いの“場”が生長の家である。それは総本山や宇治別格本山や教化部や誌友会場であり、たとえ感染症が蔓延するようなどんな状況下でも、それは変わらない。

 今は、ネットフォーラムやPBS活動という新たな“場”を通して、誌友信徒がどんどん繋がり始めている。

 この運動は、世代を超え、組織を越え、地域を越えた“ムスビの働き”で、次世代との新たな出逢いを必ずもたらすだろう。そしてこの生長の家の大乗のみ教えは、「新しい文明」へと、私たちを運ぶのである。
  

 (総本山総合情報誌『顕斎』329号(2020年10月号)「総本山と私」より)

 

 

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