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2021年6月 1日 (火)

“学ぶ”ことについて (2021,6)

 コロナ禍は、令和の御代に大きな変化をもたらしている。

 それは人々の生活を変え、社会や組織の仕組みを変え、私たちの運動にも深い影響を与えている。

 そんな渦中、埼玉・群馬の「おムスビネットフォーラム」では、生長の家国際教修会で発表した田中明憲講師を招聘(しょうへい)し『ムスビの概念の普遍性を学ぶ』と題して、同名の書籍をテキストに“ムスビの働き”とユング心理学についてお話しいただいた。

 田中講師は、同心理学における「アニマとアニムス」について解説してくれたが、深層心理学について学びを深めることは、私たちが抱える諸問題を解決するための一助になるだろう。

 聞き慣れない言葉だがアニマとは、男性の無意識の中にある“女性的な面”のこと。

 一方のアニムスは、女性の無意識の中にある“男性的な面”のことであり、私たちは例外なく、それらを内に蔵しているのだ。

 観世音菩薩は“両性具有(りょうせいぐゆう)”といわれている。生長の家でも“人間は神の子”で「自性円満」と説いているように、私たちの内には未開発の彩り豊かな神性が無尽蔵に内在しているのだ。

 つまり男性的な面も女性的な面も具有していればこそ、ある過去生では女性としての人生を経験し、ある生涯では男性としての境涯を生きて、神の子としての全容を宇宙に開花させているのである。

 生長の家と深層心理学との関係は深く、昭和二七年(1952)には、日本教文社から『フロイト選集』が刊行され、昭和三〇年(1955)には『ユング著作集』を刊行。

 しかも前者はフロイトの弟子である古沢平作が、後者は当時のドイツ文学の第一人者である高橋義孝らが翻訳を担当しており、戦後の混乱の中、生長の家が日本の五〇年後、百年後の未来を見据えながら人類光明化運動を展開していたことが、このような事蹟から見えてくるのである。

 半世紀以上を経て、生長の家が再び深層心理学に、そして古事記等に表現された“ムスビの働き”に光を当てていることの深い意味を想うのである。

 さて、田中講師は前掲書の中で、「男性は自分のアニマを外的世界の女性に投影し、一方の女性は、自分のアニムスを外的世界の男性に投影する。(中略)それらのイメージを通して相手を見る」(62頁)と紹介している。

 生長の家でも、私たちを取り巻く人や物や事は、観自在の原理によって現れた「心の影」であると説いているが、心の世界を扱う宗教と心理学とは、コインの裏表のように共通する部分が多いのである。

 アニマやアニムスのことをユング心理学では「原型(archetype)」と呼んでいるが、これは世界各地の神話や昔話など、意識の深層が投影された物語などに共通して現れるという。

 このほか原型には「自己」「老賢者」「グレートマザー」「影」などが挙げられており、これら精神分析の知見は、紛れもない人類救済の一つの現れであり、仏の四無量心の働きに豊かな表現の地平を開くことだろう。

 それは世代や民族を超えて、ともに人間の実相を克明に解き明かしていくことであり、そこに、人類が発見した最新の科学的知見から、私たちに“学ぶ”ことの深い意味があるのだ。

  (二〇二一・六)

 

 

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