これは過日の部内での打ち合わせの折に、私が作成した資料からの抜粋である。
生長の家の運動に携わる一個人として、近未来の運動のカタチについて予測したところを、インターネットを活用されている(この予測と関係の深い)生長の家の皆さまと情報を共有しておくことも、それほど無駄なことでもあるまいと思い、差し支えない範囲で公開することにしました。ご覧ください。
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アマゾン・ドット・コムでは、ロングテールの領域での書籍の売り上げが大きなパーセンテージ(8割)を占めている。その理由は、この領域にある本は一般書店の限られたスペースの書棚にはならんでいないが、同サイトの検索によってその存在を知った人たちが買い求めるからだそうだ。
この「ロングテール」という現象は、インターネットという世界が具現して初めて可能になったものであり、また、ネットならではの特徴がよく現れているとも言われている。
この現象を参考に、サイバースペース上のブログを生長の家のネット上の単位(伝道媒体)として捉え直してみると、ブログやSNSの、まさにネット上でのロングテールとしての構造が見えてこないだろうか。
たとえば、これまでの普及誌による伝道では、性別や年齢層など、対象となる読者に向けて4種類ほどの雑誌を制作してきた。しかし、ブログやSNSの場合は、書き手一人一人の特性や個性に応じて読者対象が無限に広がるのである。つまり、性別や年齢層のみならず、職業、趣味などの専門領域や、介護、子育てなど、その人が実生活で取り組んでいるさまざまなテーマで百人いれば百様のブログが、千人いれば千様のブログで情報(光明思想)を展開することができるのだ。
例えば、ネットに親しんでいる世代の生長の家の人たちが、数千人、あるいは数万人規模でブログを立ち上げることができれば、ウェブ上に広大な「生長の家ワールド」が出現する。
生長の家信徒のブログやSNSとは、要するに「日時計日記」である。
信徒の一人一人がブログやSNSを立ち上げることで、「日時計日記」が、同時に「日時計主義」のサイトとなり、これら数万の多様性に満ちたサイトがネット上に提供されることで、ウェブ上に広大な光明思想の網が構築されることになる。
もちろん、従来のような普及誌による伝道も大切である。
しかし、毎月消費されていく「雑誌」という形態を作るために、大量の森林資源を消費し、CO2を大量に発生させて紙に印刷し、配送し、配布する時代は、もう終焉(しゅうえん)を告げ始めているようにも思えるのだ。
これからは、私たち一人一人が、ブログやSNSによってそれぞれのキャラクター(個性、趣味、信仰体験、仕事など)を通してみ教えを伝える時代が到来しているのではないだろうか。さらにこのブログが、リアル世界におけるAタイプ、Bタイプ双方の誌友会とも連動していくようにも思われる。
21世紀に入ってからというもの、文字情報が流れる世界は、紙(リアル)からネット(デジタル)へと大きく変化した。つまり、はっきりと構造が転換しているのである。
これからの運動を見直す際に、このブログやSNS、そして携帯でのメール配信などの伝道を視野に入れていなければ、その運動は人・事・処を外したものとなるかもしれない。
さて、紙の雑誌による伝道と、ネットのブログやSNS、またはケイタイへのメール配信などの伝道と比較してみると、以下のことに気付かれることと思う。
①スピード(ネットでは記事の責了と同時に配信可能。紙は印刷、校正、製本、配送などが必要、つまり時間、労力、資源、お金が掛かる)
②購入価格(ネットでのほとんどの情報は無料。紙は印刷・製本・配送料などが加わる)
③流動性(デジタルは、コピー、転送、再編集に加え、サイト上での本文の修正、デザイン変更などが容易)
④双方向性(発信者と受信者との有意義かつ発展的な対話が可能。しかし雑誌は片方向)
⑤二酸化炭素排出量(デジタルは微少。紙は印刷・製本・配送などの際に大量に発生)
⑥森林資源の消費(デジタルはゼロ。紙は大量に消費)
⑦制作コスト(上記の記述参照)
など、あらゆる面で、雑誌という媒体での伝道は、その役割が終息つつあるように思われる。
両軸体制が発足して、今年で丁度20年目である。
次の軸となるものを予測することも、それほど無駄なことでもあるまいと思い、あえて一歩踏み込んで言葉にしてみると、
①講習会と誌友会、聖典などの書籍によるリアル世界での運動
②本部サイトと数万人の信徒ブログによるネット世界(サイバースペース)での運動
こんな表現が可能であるか否かはしらないが、「リアルとネットによる両軸体制」というような、近未来の構造が見えてくるのである。
これをベースに、2010年以降の運動のスタイルについて、さらに踏み込んで考察してみると、(これはあくまでも予測であるが)次のような変更が求められているのかもしれない。
それは、「数量で運動成果を換算する」(量)の運動から、「個を輝かせる」(質)の運動への転換ということである。
これからの時代は、み教えに触れた一人一人の「個」を輝かせ、それぞれの神から授けられた個性を拝み、育てていくことに主眼を置くことが、ネット社会に則した活動となると同時に生長の家の運動を恒久的に力強く伸展させていくことに繋がるのではないだろうか。
その結果として、一人一人の「個」が重要な光明化運動の単位(光の拠点)となり、誌友会や各人のブログを通して、それぞれが生かされている喜びを発信し、真・善・美に満ちた神様の世界への信仰を語り、それぞれの立場や状況に応じてネットで、あるいは実生活で、あるいは双方で、人類社会に貢献していく、そのような多様性に満ちた運動へと体質を転換していくことで、新たな伝道への可能性が広がるのではないだろうか。
つまり本部や講師の役目としては、一人一人の「個」を育て、開花させ、その一人一人がもって生まれた個性を十全に地上に展開していただく、そのためのサポートにこそ本部が発行し主催する新雑誌なり、講師のブログなり、SNSなりが活用できるかもしれない。
さらにネットを通じて、相互に智慧と愛を尽くし合い、生かし合うことのできる仕組みを考えることも、これからの大切な課題となることだろう。
ネットの世界は、過去も、そしてこれからも、一つの重要な実験場であり、ネット世代(つまり、これからの全ての人類)に向けての大切な実践の場でもあるのだ。
皆さんがそれぞれの立場で、それぞれの天分に応じて、それぞれの運動を考え、それぞれの命を開花していただくためのヒントぐらいになればと思い、あえてアップさせていただくことにしました。
久都間 繁
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