ほったらかし農園

2012年5月25日 (金)

自然栽培―ほったらかし農園で実験開始

 4月の連休前のこと、古書店からまとめて仕入れてきた本の中から、『奇跡のリンゴ 』という、リンゴ農家の木村秋則氏の評伝を読んだ。

 木村氏の生き方と農法が、ささやかな「ほったらかし農園」で野菜を育てる私の心の琴線に強く響いてきた。

 さっそく同氏の著した『リンゴが教えてくれたこと 』、『自然栽培ひとすじに 』、『「お役に立つ」生き方 ~10の講演会から~ 』、『あなたの人生に「奇蹟のリンゴ」をつくる本』、『すべては宇宙の采配 』、『奇蹟を起こす 見えないものを見る力』などを、次々とネットで取り寄せて、しっかり通読させていただいた。

『奇蹟のりんご』を生みだした農法のことを、木村氏は、福岡正信氏の「自然農法」からアイディアを得て、これをさらに発展させたものとして、「自然栽培」と名付けている。

「自然栽培」と「自然農法」との違いについて同氏は、無農薬、無肥料の理想を追求するだけではなく、農業として経営をしっかり成り立たせることから、「栽培」と名付けたという。

 また、「有機農法」との違いについては、農薬のみならず牛糞・鶏糞などの有機肥料も一切使用しない栽培方法を確立したところにあると述べている。

 そんな木村氏の思想の根底には、「自然」に寄せる大いなる信頼がある。

 その思想は深く、同時に極めてシンプルである。

 30数年前、ともに畑仕事をしていた奥様が農薬に弱い体質だったことから、不可能といわれていた無農薬でのリンゴ栽培に果敢に挑み、これに人生のすべてを捧げた人間がたどりついた結論でもある。

 かつて、津軽地方で生活破綻者を意味する“かまどけし”(かまどが消える、つまり食べていけない人の意)とまで呼ばれ、行き着くところまで行った者が“いのち”と引き替えに得てきた智慧が、彼の言葉の一言一句から伝わってくる。

 その背後には、欲すると欲せざるとに関わらず、農薬や科学肥料に依存して工業生産のように農作物を作り出すという、現代の主流となっている近代農法とは正反対の道を歩まざるを得なくなったご自身の孤独な宿命が、無農薬10年年目にしてリンゴ栽培を実現させ、次第に人生そのものが花開いていくことから確信した、同氏の「見えないものを見る」チカラが、人と自然と地球環境の未来をも見通しているようにみえる。

 つまり「自然栽培」とは、農業を通した、地球環境保全活動の究極の実践なのである。

 この木村氏の提唱する「自然栽培」は、これまで鶏糞、牛糞などの有機肥料を使用してきた「ほったらかし農園」園主としては、革命的ともいえる発見だった。

 たとえば木村氏によると、雑草や害虫たちは、施肥によって栄養過多となり、いわば過保護となった畑に発生し、彼らは一見、農作物を人間から奪っているように見えるが、実は人体にとって有害となる様々な成分を、雑草や昆虫たちが摂取して浄化している、というのである。

 だから無農薬、無堆肥にして数年経過すると、害虫による被害はどんどん軽減されるそうである。

 そういえば、わが家の「ほったらかし農園」も、かれこれ無農薬での栽培を始めて10年ほど経過したが、忙しさにかまけて堆肥を全く施さなくなってからも、トマトやゴーヤなどは家の二階に達するほど毎年生長し、霜が降りる11月ごろまで花を咲かせ果を実らせていたではないか。つまり、虫の被害よりも、次から次へと元気に果実を実らせる野菜の生命力の方がはるかに勝っているのである。また、冬から春にかけてのノラボウ、キャベツなどの野菜もまた然りである。

 さらに同氏は、無施肥にしても栽培が成り立つ一例として、たとえば大豆などの豆科の植物は、空気中にある窒素を吸収し、余った養分を土中にある根っこに根粒菌として蓄え、それが土に吸収され、他の野菜や果樹の養分になるという。

 これに加え、農薬を使わないために、さまざまな微生物が活発に活動することで畑の土は自然の山野のように肥沃となり、弘前大学農学生命科学部の調査によると、木村氏の畑のリンゴの葉っぱに付着したバクテリアの多様性は、世界遺産の白神山地のそれに酷似しているという。

「ほったらかし農園」でも、さっそく雨が上がった5月5日と13日、家内と、農園助手の中学生と小学生(長男、二男)と一緒に、くまなく大豆(早生枝豆・白鳥系)を蒔いた。

 その大豆とともに、トマト、キュウリ、ゴーヤ、アスパラ、オクラ、パプリカ、大根などの野菜のほか、昨秋からミカンを二本植樹し、柿、サクランボ、ブルーベリーなどの果樹が順調に花を咲かせ、そして今は新緑を輝かせている。

 無農薬10年目にして始めた「ほったらかし農園」の「自然栽培」。

 その後の経過などを、断片的な報告しかできないかもしれないが、ときどき本欄で紹介してみようと思う。

【お勧めの本】

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2010年1月22日 (金)

「ほったらかし農園」冬の土づくり

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1月の初め、友人からビワの苗と、ツルバラの苗をいただきました。

このほか楓の苗と、ロウバイの種もいただいていたので、10日ほど前、野菜作りに差し支えない場所に植樹しました。

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毎年この時期、「ほったらかし農園」では土壌作りの作業をします。近ごろは助手もできたので、大地主になったような気分です。

さて、畑ではEM菌で発酵させた生ゴミをはじめ、発酵牛糞、発酵鶏糞などを、たっぷり土に鋤(す)き込みます。そのまま春までほったらかしておきますが、この間に土の中では、バクテリアやミミズなどがこれを食べて、菜園に適した最良の土壌を作ってくれます。

私たちが畑でしていることは、ミミズや野菜が活躍するための手助けをしているのだということが、最近分かるようになりました。

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 今年はじめの1月4日の夜、仕事から帰宅して、たまたまNHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』を視ていました。すると、有機農業で60種類以上の野菜を育てているという埼玉県の農家、金子美登さんのことを紹介していました。

 その年の天候に合わせて、まるで農作物と親しく対話するように、手塩に掛けて野菜類を育てている様子を見て、本当にびっくりしました。
 この人の農業には、自然から学んだ智慧と、自然への謙虚さと、農作物への愛情があふれています。とても私に真似はできませんが、少しでも学ばせていただければと思い、彼の著書『有機・無農薬でできるはじめての家庭菜園―安全でおいしい野菜をつくろう!』を買って読み始めています。
 これから菜園を始めてみようと思っている方、無農薬有機栽培に挑戦しようと考えている方には、それぞれの野菜の育て方について写真や解説がたくさん入っているので、とても参考になる本だと思います。

 

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2009年11月20日 (金)

ほったらかし農園「秋の花」篇

 ほったらかし農園は、見ようによっては「ほったらかし花園」にも見える不思議な一面を持っています。
 今回は、その一旦をご紹介しましょう。
 
 写真は、先週の11月15日に撮影したもので、冬になる前にアップすることができました(^^;
 


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このバラは、今から7年ほど前に母と植えたものです。
名前は忘れてしまいましたが、春と秋にピンクの花が咲き、辺りに芳しい匂いを放ちます。
わが家での母親教室の折にも、ときどきこの花を飾ります。


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ムラサキツユクサ。
この花は、いつまにか生えてきたものです。
子どもたちが、どこからか種をもらってきて植えたのかもしれません。

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イヌタデの群落もあります!
といってもタライか洗面器ほどの規模ですが(^^;

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こちらはクジャクソウ。
拡大してみると、アリが蜜を吸っています。
開花時期のピークはすぎても、この季節によく似合う花の一つです。


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これはアスパラの花。
昨年の秋に苗をいただき、畑に植えてからちょうど1年が経ちました。
来春にはわが家の食卓にデビューする予定です。

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トマトの花。
この季節になっても、まだまだ受粉して実をつけているのが不思議です。


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これはなんと、ホタルブクロまで秋の風に揺れていました!

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2009年11月 8日 (日)

秋のほったらかし農園①

「ほったらかし農園」にも秋が訪れ、収穫の時を迎えています。

 この日(11月7日)収穫したのは、春に種を植えた落花生です。

 愛犬のハッピーが、ときどき畑に入ってゴロゴロ寝そべっていた関係で、まるで草のベッドのようになっていた落花生畑でした。

 そのような圧迫に耐え、夏の暑さと秋の雨風を越えて、地中に実った落花生がようやく日の光を浴びようとしています。

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 わくわくしながら、ググゥ~っと茎(くき)を引っ張っり上げているのは、末っ子の啓(ヒロム)くんです。

 事前にスコップを地面に深く差して、地中から土をモコっと掘り起こしてあるので、収穫はあんがい簡単です。
 

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 当初予想していたより、たくさん実を付けていたのでホッとしました。
 モデルは長男の實(マコト)くん。私がポーズに注文をつけたので「早く撮って!」と、眼で催促しています(^^;

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 植えてもいないサツマイモまで収穫できました。
 これも「ほったらかし農園」ならではの光景です。

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 天日に干して、収穫が完了!


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 落花生を収穫した後の畑は、土に、生ゴミとEM菌を培養して作った堆肥を混ぜて、新たな苗床を作りました。

 ちょうど一週間ほど前に、ご近所に住む誌友から「のらぼう」という多摩地方特産の野菜(アブラナ科)の苗を頂いていたので、それを植えました。

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「のらぼう」は、来年の2月~3月に収穫できる予定です。
 無農薬でも元気に育ち、おひたしやソテーにして食べるととても美味しいので、わが家のある青梅市などの西多摩地方の田舎では、これが春先の定番メニューとなっています。

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2009年10月13日 (火)

フウセンカズラの種

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 これはフウセンカズラの種です。写真をクリックしていただくと、黒地にコントラストも鮮やかなハート形の白地が見えてきます。

 数日前、台風18号の去った「ほったらかし農園」で採集し、テーブルの上に置いてキレイに並べて撮影しようとしましたが、コロコロころがって私の(大きな)手に負えなかったため、台風休暇で家にいた中学1年の娘にコーディネートと撮影を委託することにしました。


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 ハート形の模様は、おサルの顔のようにも、モダンな芸術作品のようにも、東南アジアの民芸品のようにも見えます。

 北米原産のフウセンカズラ。これが日本をはじめ世界各地に広く分布した理由のひとつに、この種の素朴で愛らしい姿形が好まれたのではないかと思います。

 このハートの種には、私たちを夢中にさせる魅力的な物語がいっぱいつまっているようにも見えます。が、実際に土に植えてみると、7月ごろから次からつぎへと小さな白い花を咲かせ、10月中旬になっても結実の勢いが止まらない大変な繁殖力を持っているところが、この「ハートマーク」の持つ呪術的なパワーなのかもしれません(^^;

「フウセンカズラにあやかりたいものだ!」なんて思っている方! メールで連絡いただければ、この種をひそかにお送りしましょう。お礼は要りませんので、来年の夏か秋にでも、皆さんのブログにスケッチか写真でもアップしていただくか、当ブログに感想でもお寄せいただければうれしいです。

 春先、プランターか庭に植えて、アサガオを育てる要領で支柱を立て、後はホッタラカシて(ときどき水をやって(^^;)おくだけで栽培できますが、食用にはならないのでもっぱら観賞用としてお楽しみください。

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2009年9月23日 (水)

「ほったらかし農園」ゴーヤ爆発!

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 ほったらかしていたゴーヤが、ついに爆発していました!

 ゴジラのような、ぱっくりと空いた口から、朱色の種がこぼれ落ちています。

 着ぐるみのような、黄金色に染まった衣装を惜しげもなく脱ぎ捨て、乾坤一擲(けんこんいってき)! とばかりに大地に種を吐きだしているようです。

 毎年、この光景と出合うたびに、農園に秋の到来を告げる鐘が鳴っているような気がして、季節の巡る早さに驚かされます。


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2009年9月20日 (日)

ほったらかし農園の彼岸花

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 彼岸入りした「ほったらかし農園」でも、彼岸花が満開です。

 拡大して見ると、向かって右隣にキンカン、やや後ろにネギの茎が見えます。
 ネギは何年か前に母が植えて、その後自生したもので、草に埋もれながらもたくましく生き延びています。

 農園のある青梅市では、一週間ほど前の9月12日ごろから一斉に彼岸花が咲き始めました。
 この花をしみじみ眺めていると、かつて彼岸前後に出会ったであろう、いろいろな思い出がよみがえってきます。


 秋の夕日を浴び、赤トンボが舞うなかを夢中になって従姉たちと駆け回った4、5歳の頃のこと。

 小学校の帰り道、拾った棒で、バッサバッサと切り倒した後に落ちる、露わな花の感触。

 幼かった息子と、畑のあぜ道に咲く花を眺めながら、懸命に後を追った秋祭りの山車と祭囃子(まつりばやし)の音。
 

 彼岸花は、いつのまにか現れて、深紅の花を咲かせたのもつかの間、いつの間にか消えて往きます。

 別名、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とも、幽霊花とも呼ばれていますが、遠い日の記憶のように出現して、諸行無常の理(ことわり)を、鮮やかな花に託して語りかけているようでもあります。

 この花が咲き、日が暮れてコオロギの音が辺り一面に降り注ぐようになると、妙に日本酒が恋しくなるのは、私だけなのでしょうか(^^; 
 

 
 
 

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2009年9月10日 (木)

「ほったらかし農園」のトマト

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 畑をほったらかしていても、それなりに収穫できるところが「ほったらかし農園」の魅力の一つです。

 たくさん採れ過ぎたたときは、ご近所にもお裾分けしています。

 トマトは、20年ほど前からプランターで生ゴミとEM菌とを使って栽培してきた経験が役だっています。

 当初は失敗することもありましたが、これも料理と同じで、すべての失敗や成功がよい経験となり、やがて自分の個性(性格や好み)、栽培条件(プランター・畑の規模)、携われる時間などを加味して、「自分ならではの」野菜作りができるようになります。

 誰でも、土とプランターと好奇心さえあれば、いつでも、どこに住んでいても始めることができます。
 

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2009年9月 8日 (火)

「ほったらかし農園」のヒョウタン

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 今年の春、小学4年の長男とキュウリの苗を買いに行ったところ、瓢箪(ヒョウタン)の小さな苗を発見しました。

「ヒョウタン!」

 思わずそのユニークな形が、電光のように脳裏を駆けぬけ、

「ためしに、育ててみようか!」

 と、息子に問い掛けると、好奇心に満ちた彼の瞳が輝き、1株だけ購入して農園のイチゴ畑の空きスペースに植えてみました。

 肥料を与えていなかったのですが、それなりに成長して、9月上旬にはこんなになりました。

 そういえば10数年前、青森県にある三内丸山遺跡を見学に行った折、5000年前の縄文時代にもかかわらず同地でアフリカ原産のヒョウタンが栽培されていたことを知り、縄文文化圏の交易範囲の広さにたいへん驚かされたことがあります。

 同遺跡では、この他にも世界最古の日本製漆器の破片や、クルミの入ったかわいい縄文ポシェットの遺物、巨大な建造物の遺構、大人と赤ちゃんの埋葬方法の違いなどの行き届いた説明を、現地のボランティアガイドの方にしていただき、この日以来、私の縄文観が一変したことを思い出します。

 さてこのヒョウタン、煮ても焼いても食えそうにありませんが、いずれこれに晩酌でも入れて、はるか往古の森で営まれていた縄文人の生活に思いを馳せながら、秋の夜長に究極の「森のオフィス」のことでも考えてみたいと思います。

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2009年9月 7日 (月)

「ほったらかし農園」のカボチャ

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 このカボチャ、実は畑の脇を流れる小川の上空に伸びた山吹に巻き付いて実っています。(山吹の花が、その重さにたえながらカボチャに何ごとかを訴えているのがご覧いただけることと思います(^^;)
 
 これは、普通の農家の畑ではお目にかかることのできない、わずかな土地を縦横に利用して野菜を栽培している「ほったらかし農園」ならではの奇観といえましょう。

 あまり実が大きくなりすぎると落下しそうなので、農園では適当な時期を見計らって収穫する計画を立てております。

 でも写真を拡大してよく見ると、これから咲こうとしているカボチャのつぼみがまだ2つほど確認できます。山吹は、このカボチャから一方的に浴びせかけられた過酷な運命を、はたしてどのような気持ちで受けとめているのだろうか。
 

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